「フォロワーを増やせば稼げる」
そう思っていませんか。
2026年8月8日、その前提が崩れました。
@XCreatorsが発表した新プログラム「Original Content Rewards」では、一般ユーザーが1万人見ても収益はゼロ。プレミアム加入者が1,000人見れば、収益が発生します。
数の勝負から、届く相手の質の勝負へ。Xの収益構造が丸ごと入れ替わった発表です。
「The Original Content Rewards Program is designed to reward creators who bring original ideas, expertise, reporting, creativity, and commentary to X.」 (オリジナルコンテンツ報酬プログラムは、独自のアイデア・専門性・報道・創造性・コメンタリーをXにもたらすクリエイターを報酬で報いるために設計されている)
この記事では、発表内容をファクトベースで整理しながら、これがクリエイターにとって何を意味するのかを考えます。
何が変わったのか。5つの変更点
まず全体像から押さえます。今回の発表で変わったのは、次の5つです。
Revenue Sharing(従来の収益分配)が本日より新規登録停止
Original Content Rewards Program(新プログラム)が始動
収益の判定基準が「インプレッション数」から「適格インプレッション」へ変更
資格要件のインプレッション数が10分の1に緩和
「オリジナルコンテンツ」の定義が公式に明文化
このうち、実務へのインパクトが一番大きいのは3番目と4番目です。数字だけ見ると「ハードルが下がった」ように読めますが、中身を見ると話はそう単純ではありません。順番に見ていきます。
なぜ「誰に届いたか」が「何人に届いたか」より重要になったのか
新プログラムの収益は「適格インプレッション」から生まれます。公式の定義はこうです。
「Qualified impressions are unique impressions from Premium users (subscribers to X Premium Basic, Premium, Premium+, or Premium Business) on the Home Timeline feed, where at least 50% of the post is visible.」 (適格インプレッションとは、ホームタイムラインフィードで投稿の少なくとも50%が表示された状態での、プレミアムユーザーからのユニークインプレッションのことだ)
条件を分解すると、3つの壁があります。
① プレミアム加入者の壁
Xプレミアム(Basic以上)に加入している人からの閲覧しかカウントされません。無料ユーザーがどれだけバズらせても収益は生まれない。
② ホームタイムラインの壁
検索経由・プロフィール経由・通知経由は対象外の可能性があります。フォロワーのタイムラインに自然に流れて表示される必要がある。
③ 50%表示の壁
スクロールで一瞬通り過ぎただけの投稿はカウントされません。読者が実際に目を止めた投稿だけが対象になる。
この3つの壁を越えて初めて収益になる。だから、プレミアム加入者の属性を考えることが、そのまま戦略になります。プレミアム加入者は月額課金してでもXを使い続けるヘビーユーザーで、ビジネス・テック・投資・クリエイティブ領域への関心が高く、情報の質に敏感な層だと考えられます。
「誰にでも刺さる浅い話」より「特定の層に深く刺さる濃い話」のほうが、新プログラムでは有利に働きそうです。ライト層向けの量産コンテンツより、専門性のある一本のほうが報われる構造だからです。
なお、返信のインプレッションは資格要件の集計から除外されています。リプライで数字を稼ぐ戦略は、この時点で成立しません。本投稿の質そのものが問われます。
資格要件は10分の1に緩和された。でも「楽になった」わけではない
新旧の要件を並べてみます。
【旧Revenue Sharing】
Xプレミアム加入(必須)
認証済みフォロワー500人以上
過去90日間で500万インプレッション以上(誰から見られてもカウント)
【新Original Content Rewards】
Xプレミアム加入(必須)
認証済みフォロワー500人以上
過去90日間でホームタイムライン50万インプレッション以上(認証済みユーザーから)
インプレッション要件の数字だけを見れば、500万から50万。10分の1です。
「Have at least 500,000 Home Timeline impressions from verified users in the last 90 days (impressions on replies are excluded)」 (過去90日間で認証済みユーザーからのホームタイムラインインプレッションが50万以上必要。返信のインプレッションは除外される)
ここだけ見ると「収益化のハードルが大きく下がった」と読めます。実際、1日あたり約5,556インプレッションを90日間維持すればクリアできる計算になり、旧要件よりは現実的な数字です。
ただし、カウントされる中身の質は厳しくなっています。旧プログラムは「誰から見られてもいいから、とにかく量を稼ぐ」設計でした。新プログラムは「プレミアム加入者のホームタイムラインに、実際に読まれる」ことが条件です。
量で稼ぐ設計から、質で稼ぐ設計へ。数字のハードルは下がったのに、求められるコンテンツの水準は上がった。これが今回の緩和の正体だと考えられます。逆に言えば、転載や量産で数字を積み上げてきた人には逆風、専門性や独自の視点を持つ人には追い風という、二極化を招く変更でもあります。
「オリジナル」と「ただの転載」の境目はどこにあるのか
新プログラムの核心は、収益対象を「オリジナルコンテンツ」に絞り込んだ点にあります。公式の定義はこうです。
「Original content is content you personally create that reflects your own voice, perspective, expertise, or creativity.」 (オリジナルコンテンツとは、自分の声・視点・専門性・創造性を反映した、自分自身が作ったコンテンツのことだ)
面白いのは、既存のコンテンツを起点にすること自体は問題視されていない点です。
「Many creators start from existing posts, videos, images, screenshots, or cultural moments, and that’s fine. What matters is the value they add on top.」 (多くのクリエイターは既存の投稿・動画・画像・スクリーンショット・文化的な瞬間から始める。それで構わない。重要なのは、その上に加える価値だ)
つまり判断基準は「何から始めたか」ではなく「何を足したか」です。公式が示す自問はシンプルです。
「Before posting, consider: Would this content still be valuable without my contribution?」 (投稿前に考えてほしい。自分の貢献がなくても、このコンテンツは価値があるか?)
答えが「はい」なら、それは転載に近い。対象外になる具体例として、公式は次のようなものを挙げています。
他のクリエイターからコピー・実質的に複製されたもの
他プラットフォームからダウンロードして再アップロードしたもの
すでに起きていることを単に説明するだけのキャプション
ハンドルネームやロゴなど、帰属表示だけを付けたリポスト
コメンタリーが限定的、または存在しないリアクション投稿
トリミングやフィルター、テキストオーバーレイのような軽微な編集も、それ単体では「意味のある変換」とみなされません。
「Minor edits such as cropping, filters, borders, watermarks, speed adjustments, or simple text overlays generally do not qualify as meaningful transformation on their own.」 (トリミング・フィルター・枠・透かし・速度調整・単純なテキストオーバーレイなどの軽微な編集は、一般的にそれ単体では意味のある変換とは見なされない)
「引用元を書いていればセーフ」ではなく、「意味のある解釈や分析を加えているか」が問われる。ここが実務上、一番判断に迷うラインになりそうです。
コメンタリーはオリジナルとして扱われる
公式が特別に章を割いて強調しているのが「Commentary counts」です。
「Commentary is at the heart of X. Reacting to, analyzing, explaining, and building on what’s happening in the world is one of the things that makes the platform unique.」 (コメンタリーはXの心臓部だ。世界で起きていることに反応し、分析し、説明し、発展させることが、このプラットフォームをユニークにしている要素の一つだ)
これは実務的にかなり大きい話です。ゼロから記事や動画を作らなくても、既存の話題に自分の解釈を足すだけでオリジナルとして扱われる。
ニュースや発表に「自分の専門領域からの解釈」を足す
話題の投稿に「一般人が気づかない視点」を添える
データや研究結果を「自分の実体験」と接続する
海外の情報を「日本の文脈に翻訳して解説」する
ただし、他者のコンテンツに依存する頻度が高いほど、足すべき価値の密度は上がります。
「If your content regularly incorporates material created by others, you’ll need to contribute meaningful original value for it to qualify under our original content guidelines.」 (他者が作ったコンテンツを定期的に取り込む場合、オリジナルコンテンツガイドラインの対象となるためには、意味のあるオリジナルの価値を貢献する必要がある)
「あなたにしか言えないこと」を加える習慣そのものが、そのまま収益の設計図になります。
なぜX Articleがこの制度で有利になりそうなのか
公式が挙げるオリジナルコンテンツの例の中に、こんな一文があります。
「Examples of original content include: Original writing, threads, Articles, reporting, or analysis」 (オリジナルコンテンツの例:自分が書いたライティング・スレッド・Articles・報道・分析)
「Articles」、つまりXの長文記事機能が明示的に含まれています。ここから先は推測ですが、X Articleがこの制度で有利になる理由はいくつか考えられます。
長文であるほど、自分の声・視点・専門性が自然ににじみます。転載や単純な要約では、そもそもあの分量を埋められません。「コピーではない」ことが構造的に証明しやすい形式だとも言えます。プレミアム加入者は長文を読む習慣がある層と重なりやすく、一度書いた記事がホームタイムラインに継続的に表示され続ける可能性もあります。
さらに「記事の要約ポストを投稿し、本文はArticleに誘導する」という導線を組めば、ホームタイムラインでのインプレッションと、深い読者体験を両立させる構造が作れます。X Articleをまだ使っていない人にとって、今が試すタイミングかもしれません。
知的財産のルールは別枠であることも忘れずに
オリジナルコンテンツと認定されることと、著作権をクリアしていることは別問題です。
「Content may qualify as original under this program and still violate our intellectual property rules. Creators are responsible for ensuring they have the necessary rights, permissions, or licenses to use content created by others.」 (このプログラムでオリジナルと認定されても、知的財産ルールに違反する可能性がある。他者が作ったコンテンツを使用する場合、必要な権利・許可・ライセンスを確保する責任はクリエイター側にある)
審査は二重構造です。オリジナルコンテンツ基準をクリアしているか、そして知的財産ポリシーに違反していないか。両方を満たして初めて収益対象になります。
タイムラインと、収益が途切れるかもしれない期間
日程を時系列で整理します。
8月8日(本日):Revenue Sharingの新規登録停止、新プログラムの発表
8月14日・8月28日:Revenue Sharingの支払い(通常スケジュール)
8月28日:新プログラムの初回支払いも同日に開始
9月7日:Revenue Sharingの収益発生が終了
9月8日以降:既存Revenue Sharingメンバーが順次、新プログラムへ申請可能に
9月11日頃:Revenue Sharingの最終支払い
9月25日:9月8日以降に移行したクリエイターへの初回支払い
移行のタイミング次第で、収益が発生しない空白期間が生まれる可能性があります。9月8日以降、できるだけ早く申請することが、この空白を最小化する唯一の手段になりそうです。
申請してから結果が出るまでは3営業日。不承認でも1回だけ異議申し立てができ、それも通らなければ90日後に再申請できます。
今日・今週・今月、何から始めるか
やることを時間軸で整理すると、こうなります。
今日
Creator Studio → Original Content Rewardsで自分の資格状況を確認する。過去90日のホームタイムラインインプレッションが50万に届いているかを見る。
今週
自分の直近の投稿を1つずつ見直し、「自分の貢献がなくても価値があるか」を自問する。転載・コピー・エンゲージメント懇願にあたる投稿をやめる。
今月 プレミアム加入者に刺さるテーマを見極める。返信ではなく本投稿の質を上げる。スレッド・Articles・動画など複数フォーマットを試す。
まとめ。量から質への転換で、報われる人が変わる
旧Revenue Sharingは「量で稼ぐ」設計でした。転載でも、まとめでも、リアクション投稿でも、インプレッションさえ稼げば収益になった。
新Original Content Rewardsは「質で稼ぐ」設計です。プレミアム加入者に届き、オリジナルと認められたコンテンツだけが対象になる。
インプレッション数が多ければ稼げた時代から、プレミアム加入者に届いて初めて稼げる時代へ
転載・まとめでも稼げた時代から、オリジナルコンテンツだけが対象の時代へ
量とバズが優先される構造から、専門性と独自性が直接収益に効く構造へ
資格要件の数字は10分の1に下がりましたが、これは「誰でも稼げる時代の到来」ではなく、「本物のコンテンツを作れる人が報われやすくなった」という話に近いはずです。転載やエンゲージメント煽りに頼ってきた人にとっては、むしろ厳しい変更だとも言えます。
公式のメッセージを最後にもう一度置いておきます。
「X has always been powered by people who share what only they can: breaking news, expert insights, firsthand experiences, and commentary that moves culture forward.」 (Xはずっと、自分にしか共有できないものを持つ人たちによって動いてきた。速報ニュース・専門家の洞察・当事者の体験・文化を前進させるコメンタリー、それらだ)
自分にしか言えないことを、自分の言葉で。まずは直近の投稿を1つ見直すところから始めてみませんか。
より詳しい内容はCreators @XCreatorsさんの以下の投稿にて Original Content Rewards Programの話
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