Substackがイーロン・マスクと対決し、Xに消されても生き残り1700億円企業になれた理由の話
「殺されるかもって思ったよ」と語るのは、テスラに乗るSubstackのCEOが、世界一の富豪イーロン・マスクとの対決を振り返って語った言葉
1年前には、Xから読者が来るのは当たり前だった。
でも、その当たり前が一晩で消えることがある。今回の記事で紹介されているSubstackの話は、まさにそれだった。
Substackはニュースレター配信ツールだと思われがちだ。メールを書き、有料購読を受け取り、読者に届ける場所。そう聞くと便利な道具に見える。
でも、ジャバ・ザ・ハットリさんの記事を読むと、少し見方が変わる。Substackが作ろうとしていたのは、ただの配信ツールではない。書き手と読者が、XやFacebookの機嫌に振り回されずにつながるための「自分たちの庭」だった。
Xに頼りきる怖さが、現実になった
記事の冒頭で出てくるのは、かなり強烈な場面だ。
SubstackのCEO、クリス・ベストは、イーロン・マスクに深夜のTwitter本社へ呼び出される。マスクはSubstackを買収しようとした。しかしSubstack側には、別の計画があった。
それが「Substack Notes」だ。
ものすごくざっくり言うと、Substack内で書き手や読者が投稿を見つけ、やりとりできる機能。Twitterによく似た場所を、Substackの中に作ろうとしていた。
クリスはその計画を正直に伝えた。すると返ってきた言葉は短かった。
「ローンチするな」
それでもSubstackはローンチした。
すると報復が起きる。Twitter上で「Substack」という単語が検索しづらくなり、Substackへのリンクを含む投稿は広がりにくくなった。リンクを押した時に、意図的な遅れも発生したという。
ネットの世界で5秒待たされるのは、かなり長い。リンクを押した後なら、「あれ、壊れてる?」と思うには十分すぎる。
ここで見えてくるのは、ひとつの怖さだ。集客を他人の場所に任せすぎると、ルール変更ひとつで読者との道が細くなる。
実際に私も当時はSubstackを始めたばかりで、SubstackアカウントをXで拡散しようとしたが、いきなりインプレッションが下がったり、そのポストには全く反応がなかったりと異常事態を経験した。
Substackは、ただのメール配信ではなかった
Substackを始めたばかりの人ほど、最初はこう考えやすい。
メールを送れる
有料購読を作れる
決済もできる
書く場所として使える
もちろん、それは間違いではない。でもSubstackの本質は、もう少し深い。
創業者たちは、広告で成り立つネットの仕組みに疑問を持っていた。クリックされるほどお金になる。長く見られるほど評価される。すると、怒りや対立をあおる内容が強くなる。
Substackが目指したのは、そこから離れた仕組みだった。
読者が「この人の文章を読みたい」と思い、自分のお金で支える。書き手は広告主ではなく、読者の方を向く。そこには、バズよりも信頼の積み重ねがある。
記事では、Substackを「文化のための新しい経済エンジン」として紹介している。ちょっと大きな言葉に聞こえるかもしれない。でも言い換えると、こういうことだと思う。
書き手が読者と直接つながり、その関係が収入になる場所。
初日に1000万円稼いでも、簡単ではない
Substackの始まりは、とても派手だった。
最初のユーザーは、中国情勢のニュースレター『Sinocism』を書いていたビル・ビショップ。すでに3万人以上の読者を持っていた人物だ。
彼は有料化したその日に、約10万ドルを売り上げた。当時のレートで1000万円以上。いきなり漫画みたいな結果が出たわけだ。
でも、ここが面白い。
その成功は、Substackにとって祝福であり、同時に罠でもあった。
なぜなら、ビル・ビショップのような人は、そう簡単には見つからないからだ。最初から3万人の読者がいて、お金を払う準備までできている。そんな書き手は、どこにでもいるわけではない。
これは、Substackを始めたばかりの人にも刺さる話だ。大きく当たる人を見ると、自分も同じようにできる気がしてくる。でも本当に大事なのは、一発の成功ではない。
読者との関係を、少しずつ自分の場所に積み上げることだ。
なぜTwitterに消されても死ななかったのか
Substackがマスクの攻撃を受けても生き残れた理由は、記事の中ではかなりはっきりしている。
それは、前から準備していたからだ。
XやFacebookから読者が来ることに頼りながらも、Substackは自分たちの中に読者が回る仕組みを作った。
たとえば、こういうものだ。
Readerアプリで購読記事をまとめて読めるようにする
おすすめ機能で新しい書き手を発見できるようにする
NotesでSubstack内の交流を生む
メールを通じて読者との直接の道を保つ
SNSでバズる方がわかりやすいし、数字も派手に動く。でも、嵐が来た時に効いたのは、この地味な準備だった。
クリス・ベストは、同じことが2019年に起きていたら会社は死んでいただろう、と振り返っている。つまり、Substackはたまたま助かったのではない。
Xに頼りながらも、Xだけに頼らない場所を作っていた。
ここが一番大きい。
これからSubstackを始める人が見るべきこと
Substackを知ったばかりの人は、まず「何を書けば読まれるか」を考えると思う。
もちろん、それは大事だ。でもこの記事を読むと、もうひとつ考えたくなる。
読者とどこでつながるのか。Xで見つけてもらう。Instagramで知ってもらう。Threadsで広げる。どれも使っていい。ただし、その場所は借り物だ。借り物の場所では、急にルールが変わる。
だからこそ、Substackのような場所では、読者との直接の関係を少しずつ作る意味が出てくる。
SNSは出会いの場所
Substackは関係を育てる場所
メールは読者に届く道
有料購読は信頼が形になる仕組み
Substackは、SNSの代わりになる魔法の道具ではない。SNSで出会った人と、もう少し深くつながる場所だ。
バズよりも、読者との庭を育てる
個人的に、この話で一番おもしろいのは「勝ち方」が派手ではないところだ。
Substackは、マスクと正面から殴り合って勝ったわけではない。Twitterなしで一瞬で伸びる裏技を見つけたわけでもない。
やったことは、ずっと地味だ。自分たちのアプリを作る。おすすめ機能を整える。書き手と読者が直接つながる仕組みを強くする。広告ではなく購読で回る設計にする。
まさに、庭を育てるような話だと思う。
Substackの物語は、これからの個人クリエイターにとってかなり大事な問いを投げている。
あなたの読者は、どこにいるのか。
そして、その読者との道は、誰のものなのか。
Xで伸びることは嬉しい。でもXだけに命綱を預けるのは怖い。Substackが1700億円企業になった背景には、その怖さを見ていた人たちの準備があった。
これからSubstackを始めるなら、ただ記事を置く場所として見るのは少しもったいない。
読者との関係を、自分の手元に少しずつ戻していく場所。
そう考えると、Substackの見え方はかなり変わる。
より詳しい内容は@nodenodenode1さんの以下の記事にて [初日に1000万円を稼いだニュースレーターから始まったサブスタックがその後どうやってイーロン・マスクと対決し、1700億円企業になったのか]の話
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いやぁ、この話、すごいなと思いました。
今、少しずつ慣れてきたSubstackの成り立ち、確固たる信念みたいな物を感じられて、ますますSubstackが好きになりました。リスタックさせていただきます😊
この示唆は面白い。みんな別のSNSを模索していたけど、それはSNSではないと言うことなのかも。